中世ヨーロッパでは、毛や麻などの目の荒い織物から、柔らかい綿などの平織りの素材で作られるようになり、またゆったりとした衣服のデザインが流行した。腰と太ももで紐で固定するブライズ(braies)と呼ばれる薄手の素材のズボンが着用されていた。豊かな者はチャスズ(chausses)という足を覆う下着を着用していた。ルネッサンス期に入ると、チャスズはより体に密着するタイツのようなものになり、ブライズは徐々に短く、小さくなっていった。しかし、このどちらも他の服で覆う事はなかったため、厳密には下着のうちに含めるべきではないかもしれない。
ブライズの前面には、ボタンや紐で留められる窓があり、脱がずにここを通して男性は排泄を行うようになっていた。この窓は徐々に男性の魅力を増すため装飾され、コッドピース(codpiece)と呼ばれるようになる。イギリスのヘンリー8世は、局部を際立たせるために詰め物を入れることを考案したとされており、16世紀末までこのアンバランスな流行は終焉することはなかった。
現在、シャツと呼ばれている前ボタンで身につけられる男性用の上衣は中世からルネッサンス期にかけて考案されたが、当初は下着であった。膝まで丈がありズボンの中に入れ込み、下履きを兼ね着用した。ワイシャツの裾ラインがカーブしているのはその名残である。鎧の下に着用されていたダブレットもこの時期にファッションとして確立され、やはり下着として使われている。
中世の女性は体に密着するアンダードレスとブライズのような下着を着用している。時には、シフト(shift)と呼ばれる綿製の下着をアンダードレスの下に身につけることもあったが、後の時代になるまで一般的ではなかった。
ルネサンス期の女性のスカートはふっくらと傘のように広がっているものが流行であり、ドレスの下にファーティンゲール(farthingale)というスカートを支えるフレーム枠付きの下着を身につけている。16世紀の終わりには、スカートのボリュームは女性の体の倍以上も広がり、歩道の通行も困難になる。
中世ヨーロッパで、十字軍に参加した夫の不在時に女性の身を守るため、下着として貞操帯が開発されたとされているが、事実かどうか定かではない。多くの貞操帯は非実用的なほど複雑であったり、重すぎたりしており、歴史研究家の間でもその実際の用途に懐疑的な見方がある。
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