多様な肥満の病態を、身長と体重の関係のみに抽象して算出されるこの指数には自ずから限界がある。
体型が全く同じ相似形であっても、身長が大きくなればBMIはそれに比例して大きくなる。BMIは体重(体積にほぼ比例する)を身長で2回割ったものであるから長さの次元を持っているといえる。体型が同じでも身長(長さ)が増大するとBMIも増大する。BMIは大人では22くらいが正常値であるが、3歳児では16くらいが正常値である(BMIは、カウプ指数と同じ)。BMIは身長の低い人では数字が小さくなるので、肥満を過小評価することになる。また過去数十年間に、大人の平均身長は増加傾向にあったが、BMIは肥満の経年変化を過大評価することになる。
体脂肪率は考慮されていないため、例えばトップ・アスリートやボディービルダーのような、筋肉質で高体重で体脂肪率は低い場合は「肥満」と判定され、逆に隠れ肥満のような、体脂肪率は高いが低体重である場合には「痩せ」と判定されてしまう。また、メタボと判定された人が運動を行って脂肪を筋肉に変えると、体重は増加し、BMIは増加して、肥満は悪化したと判定されてしまう。よって、激しい運動を伴う職業に従事する者に用いる場合には、体組成計等で体脂肪率を測定した方が有効性は高い。
若年や高齢の男女を、同じ指標で評価しているが、若い人ほど水分含有量が多く、女性の方が水分含有量が多い。同じ体型でも、水分含有量が多ければ、体重は軽く、BMIは小さい。
加齢の影響で、変形性脊椎症により、背骨(脊椎)の間の軟骨が磨り減ると、身長は短く計測される。また、背骨(脊椎)の圧迫骨折により円背が生じると、身長は短く測定される。いずれの場合も、体重は一定でも、BMIは増加する。
BMIには、上記のような問題が残されているものの、計算式が簡便なこともあり、成人の肥満の指標として多用されるものの一つとなっている。
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