伝統的に美学は「美とは何か」という美の本質、「どのようなものが美しいのか」という美の基準、「美は何のためにあるのか」という美の価値を問題として取り組んできた。科学的に言えば、感覚的かつ感情的価値を扱う学問でもあり、ときに美的判断そのものを指すこともある。より広義には、この分野の研究者たちによって、美学は「芸術、文化及び自然に関する批評的考察」であるとも位置づけられる。
美学が一つの学問として成立した歴史的背景には、18世紀に啓蒙主義の思想と自然科学の確立に伴って表面化した科学的認識と美的もしくは感覚的認識の相違が認められたことと関係している。バウムガルテンは理性的認識に対して感性的認識に固有の論理を認め、学問としての美学を形作った。後にカントは美学の研究について美的判断を行う能力としての趣味を検討し、趣味を支配する普遍的な原理は存在しないことから、美学を美そのものの学問ではなく美に対する批判の学問として位置づけた。ここから美学はシラー、シェリング、ヘーゲルなどにより展開された美に対する哲学的批判へと焦点が移行するが、19世紀から20世紀にかけて美の概念そのものの探究から個別の美的経験や芸術領域、もしくは芸術と他の人間活動との関係にも考察が及んでいる。
なお、日本語の「美学」は、本来の意味から転じて勝敗利害を超越した信念の持ち主を評するときに用いられることがある(「美学を感じさせる指し手」など)。たとえば囲碁棋士の大竹英雄の棋風は「大竹美学」と称されるが、別に大竹が哲学者を兼ねているわけではない。
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